とふるちゃんのトリリンガル育児日記

2.5リンガルの母(東大法学部卒、弁護士)によるトリリンガル育児奮闘記(になる予定)です。

「愛着形成」について考える

愛着障害の克服』(岡田尊司光文社新書)を読みました。

現役医学部生の妹の本棚にあった本です。学校の授業で、本書の第3章「愛着の発見と、愛着理論の発展」を題材にレポートを書く課題が出たそうです。医学部お墨付きということでお姉ちゃんも読んでみたら?とすすめてくれました。

本書のテーマは、心身の不調や精神的な症状を持つ人が、子ども時代にうまく形成できなかった愛着を修復することで回復を図る、という点にありますが、第3章「愛着の発見と、愛着理論の発展」や第5章「安全基地の条件」は、赤ちゃんとの愛着形成を考えるママたちにとっても参考になる内容だと感じました。

 

印象に残った内容を少しご紹介します。

 

まず、そもそも愛着形成とはどういうことで、なぜ大切なのでしょうか?

この点について、本書では、養育者との安定した愛着は、安心感の拠り所すなわち「安全基地」となり、安全基地を持つことによって子どもは知的、社会的、情緒的経験を積むことができ、健全な発達を遂げ、安定した人格を獲得することに役立つと言っています。

いざというときに逃げ込める安全な基地があることで、子どもは安心して外の世界で冒険でき、外の世界で傷ついたとしても、基地に帰ってきて心を癒すことができるというわけですね。

そして、安全基地となるための条件は「高い感受性と、高い応答性」。いつも目を光らせて、何が起きているかをさりげなく見守り、子どもの変化や兆候を見逃さず、求められればマメに即座に反応することが大事とのことです。ここで何よりも大事なのは反応の素早さで、反応が遅いのは大減点、なのだそうです。

私は割と心配性で、娘がぐずったり泣いたりするとすぐ飛んでいってしまい、構いすぎだから余計甘えん坊になってるんじゃないの?と人に言われるなどして少し気にしていたで、これは心励まされる記述でした。

 

一方で、ハッとさせられる記述もありました。高い応答性とは、ニーズに合わせて臨機応変に対応することであり、必要以上に干渉したり過剰に反応したりすることはかえって子どもを不安にすることもあるということです。

私は自分の母親が過干渉支配型タイプのため辛い思いをした子ども時代だったので、自分は娘に対して、求められれば即座に応えるが、求められない場合は手を出さない、放っておく勇気も持つことを肝に銘じようと思います。

また、私はどちらかというと感情の起伏が激しく気分にムラがある人間で、娘が同じように泣いていても、自分に余裕があるときとないときで対応が違ってしまっているという自覚がありました。このような場合も、子どものニーズとズレやすく、かえって不安を与えてしまうことがあるので、気をつけなければと思いました。

 

なお、この本を読んだことで思わぬ副作用(?)もありました。

私が自分の母親と、いかにうまく愛着形成できていなかったかを実感させられたという点です…。そして本書によると、傷ついた愛着は次世代に伝播するらしいのです。母親との間にある複雑な感情が、自分と娘との関係に影を落とさぬよう、私は私の傷ついた愛着を自分で修復していく必要がありそうです。自分の機嫌は自分でとりなさい、って言いますもんね。

 

その他にも、安全基地になれない人の特徴や、子どもの問題行動への対応方法などが書かれていて、育児の参考になると思いました。

娘がもう少し大きくなったらまた読み返したいと思います。